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与世山澄子 -- INTRODUCING --

大好きな女性ジャズ・ヴォーカリストの初紹介は、ボクが最も心を惹かれて止まない与世山澄子さんだ。ボクなどが言うまでもなく、ジャズヴォーカル・ファンなら彼女の名前を知らない人はいないだろう。
沖縄で生れ育ち、6?才になった現在でも、那覇でご自身の経営する「インタリュード」というジャズ・ラウンジで歌っている、大ベテランの偉大なるバラード・シンガーである。

昨年(2005)夏、20年ぶりに彼女にとっては4作目になるNewアルバム「INTERLUDE」を出している。ご自身の店「インタリュード」に録音機材を持込んでレコーディングされたアルバムだ。

この20年ぶりの新作「INTERLUDE」の発売をきっかけに、彼女の過去の3作品もCDで復活再販になっている。彼女の過去のアルバムは久しく再販すらされていなかったので、ファンの一人としてはたいへん嬉しい限りである。
しかし、その反面、日本のジャズ音楽市場が如何ほどのものかは知る由も無いのだが、紛れもなく日本のジャズ・ヴォーカルの歴史を塗り替えた本物のジャズ・ヴォーカリストとしてのエモーショナルな歌心に溢れた彼女の作品が、こうしたきっかけでも無い限りに復刻されないという、商業ベース優先の日本の音楽市場のあり方に残念さも思える。

さて、今回、紹介する与世山さんのアルバムは、23年前の1983年に発売された彼女の初アルバム「イントロデューシング」である。
ボクが与世山さんの歌の虜になったきっかけのアルバムだ。

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イントロデューシングLink

  • アーティスト: 与世山澄子
  • メーカー・販売: テイチク
  • アマゾン価格: ¥ 2,500
  • 売り上げランキング: 115,410位
  • リリース: 2005-12-07
  • ジャンル・カテゴリー: CD
  • レビュー評 価: [詳 細]
    2009-07-03 どすこいLink
    rating:5/5原点

23年前の当時、ボクは既に島でジャズ喫茶を開業していた。彼女を知ったのは店で購読していたジャズ雑誌のレコード会社の広告からだった。
典型的な黒髪の島美人顔の彼女のポートレート写真のそのジャケットは、地味さが伺えたものの、彼女の輝く大きな瞳に惹かれるかのように、ボクは即座にレコード屋に予約注文を入れたのを今でも憶えている。

いつもながらレコードが手に入った日は針を落とすまでがワクワクしてたまらない。彼女のアルバムも当然のごとくそうだった。
そーっと針を降ろす。
山本剛のピアノによる短いイントから静かに彼女の歌が始まる・・・。
1曲目の「エンジェル・アイズ」、マット・デニスの曲として知れわたっているスタンダードの名曲だ。
おおよそ日本人とは思えない太目の声質とともに、英語の不得意なボクにでさえ、はっきりとわかるほどにクリアな英語で歌っているのがすぐさまわかる。
それまでも日本人のヴォーカリストものは聴いてはいたが、沖縄米軍のキャンプのクラブなどを中心に20年あまりに鍛え上げられてきたという彼女のその歌い方には、ボクが知っている他の日本人ヴォーカリストとは歴然とした差があるほどの、まさに本物のジャズ・ヴォーカリストとしての実力のほどに、この1曲目からしてボクの心は吸い込まれノックダウンされた。

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このアルバムのキャッチコピーでは「日本のビリー・ホリディ」というような冠が与えられてはいる。彼女のジャズ・ヴォーカリストとしての歌の雰囲気を表現するには、一番わかりやすい言葉かも知れない。
確かに彼女が歌手として敬愛するビリー・ホリディに合い通じるフレージングや声の出し方といった雰囲気がそう感じさせているのかも知れないが、ボクには聴いていくうちに、まったく異なる不思議な感覚を覚えた。

本場の米国人のイントネーションとも異なる独特の節回しとでもいうのだろうか、古来からの沖縄の島唄のニュアンスも何となくミックスされたような、つまり沖縄の土壌で育まれたらこその彼女のオリジナリティさが強く伝わってくるのである。このことは、アルバムでライナー・ノーツを書かれているジャズ評論家の野口久光さんや青木啓さんも述べられている。当時、ライナー・ノーツを読みながら、ボクもウンウンと頷いたものである。

だらだらと長文になっているので、少しセーブしながら以後の楽曲については書いていこう。
「あなたの面影」はミュージカル・ナンバー。ここでも淡々と歌い上げる中にもしっとりとした感情が移入さた素敵なバラードだ。

「わたしの彼氏」、彼女の深いエモーショナルな女心の歌に、峰厚介のテナー、彼とすぐさまわかるトーンと抑制されたフレーズ構成で雰囲気を盛り上げている。

「ドント・エクスプレイン」、いわずもがなビリー・ホリディの歌で有名なバラード曲だ。感情豊かにメリハリを効かせながら歌い上げる・・・、何も言えないほど美しく素晴らしい。

「サマー・タイム」、ボクの好きな曲だ。これはオペラ・ナンバーで、インストものでもよく取り上げられる曲だ。ボーカルでいえばボクはすぐにエラのしっとりとした歌が心に浮かぶ。彼女もエラと同様にスローなバラードで美しくしっとりと歌い上げている。

「恋人よ我に帰れ」、バラードから一転してファーストなテンポの曲。軽快なバックにしてダイナミックさを加味したエモーショナルな表現に加えて、彼女のフレージング・・・独特の雰囲気のアドリブでのノり方が聴ける。

「イースト・オブ・ザ・サン」、ミディアムテンポの曲。短い曲ながらバックを務める山本、岡田、村上が凄くいい味を出している。ここでは、まるで山本剛ピアノトリオ+彼女って感じで楽しい。

「ニューヨークの想い」、言わずとも知れたビリー・ジョエルの曲だ。本アルバム中、最も傑作であろう。彼女のエモーショナルさがすごい伝わってくる。峰のテナーもすごくいい。彼の箍が外れそうで外れない抑制の効いたアドリブがこの曲の雰囲気を最高に盛り上げているような気がする。

最後の「ユーアー・ゲッティング・トゥ・ビー・アー・ハビット」、いいバラードだ。彼女の優しくチャーミングな歌い方がすごく魅力的だ。

    ※[イントロデューシング]履歴
  • LPレコード:テイチク(GU-2006) オリジナルLP 83年発売
  • CD:テイチク(30CH-116) オリジナルジャケットCD 86年CD化発売
  •    テイチク(TECP-18694) ジャケットを変えての再発売
  •    テイチク(TECI-1114) オリジナルジャケット 05年再発売

   

— posted by ティダ at 01:12 am       

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