稲毛のJazz spot CANDY

Jazz spot CANDYLink ・・・ボクが島に帰郷した2年前(04年)の年、春頃から夏までの間、偶に聴きに行ってたJazz喫茶である。
76年の開業以来、今年で既に開業30年! 押しも押されもせぬJazz喫茶の老舗である。
店は千葉市稲毛駅の西口改札口から徒歩で3分ほどの所にある。
現店舗はオーナーの長年のJazz再生への情熱とこだわりをもってオーディオ装置はもとより建築音響まで考慮して02年4月に新築したと聞く。

実はCANDYの屋号は昔から知ったはいた。
30年前の76年というと、ボクが24歳、ちょうど東京での会社勤めを辞めて故郷の徳之島に帰郷した年だ。
その帰郷する年には、暫くは本土にも出て来れないだろうという気持ちがあり、大好きなJazzのライブは聴けなくなるし、Jazz喫茶通いも出来なくなるとの思いから、島に帰る間際まで都内のライブハウスやJazz喫茶はもとより、首都圏、東北、関西方面の名だたるJazz喫茶も行っていたが、CANDYだけはボクの情報不足だったせいもあるかも知らないが、実際に訪れたことはなかった。

CANDYの屋号を知ったのは、2年遅れの78年(昭和53年)にボク自身も徳之島でJazz喫茶を開業してからだった。
30年前頃は離島の徳之島ではJazzの新しい情報などを得ようとすると、今のインターネット時代などと異なり、活字メディアが主であった。
昔からCANDYを知っていたというのは、その当時、店で購読していた幾つものJazz雑誌を通じてからである。(ボクの昔のJazz喫茶時代の話しは後日にでもまた^^;)

話しを2年前に戻そう。
2年前に東京からの二度目の故郷への帰郷の年・・・何やら昔と似たような状況だが、その時もそうだった。もう本土では生活することもなかろうと、失職した中での生活苦はありながらも、昔のようにやはり興味を引くライブやJazz喫茶に出かけたのだった。
そんな中、購読していたオーディオ月刊誌「MJ無線と実験」Link の記事で再びCANDYの存在を知ることになったのである。

2年前に初めて訪れたCANDYの音・・・、ボクはその音の素晴らしさに驚いた。AUDIO的に言えば再生音なのだが、ボクの耳にはそれは再生音には聴こえなかった。
そう、スピーカからの音はあたかもミュージシャンがそこで演奏しているかのように生々しく聴こえるのだ。圧倒的な大音量ではない。店内の空間を震わす音圧はピアニッシモからフォルテシモまで実際の生音の大きさのレベルに等しいと思った。
オーナーの求める音づくりの志向がLive音にあるのが垣間見れた。
一見客の割には図々しくもカウンターに陣取ったボクは、時間が経つのも忘れてCANDYの音に酔いしれたのだった。

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それからは、暇を見ては何度かCANDYに脚を運んだ。時にはレコードやCDを持ち込んで迷惑をかけたこともあった。
その当時からCANDYではLiveも始めていた。中々、仕事との折り合いがつかず、聴いてみたいLiveを見逃したが、一度だけはCANDYでのLiveを楽しむことができた。
ボクが聴いたLiveは忘れもしない5月5日の「Billy Bang(vlo)&羽野昌二(ds)&渋谷毅(p)トリオ」だった。 この日のLiveは2部構成で2部は松本健一(ts)立花秀輝(as)の新進気鋭のsaxプレーヤが加わってのフリーセッションで、乗りに乗ったLiveであった。

下の写真は当日のLive(オーナーの林さんよりメールで頂いたものです^^)

candy-live1

candy-live2

そういえば、この日のLiveでのエピソードをついでに一つ。
Liveの始まる時間前にCANDYに着いたボクは、音合わせなのか入口のドア越しに楽器の音が聴こえていたので、取り敢えず店の前で待っていたら、そこへ若者がやってきて、Liveはこれからですか?と聞く。
「これからだね。音合わせしてるみたいだから」とボクが答えているうちに音が止んだので、二人して中に入ることにした。

店内に入ると既に客席は半分以上が埋まっており、開演を待っていた。オーナーの林さんがあと数名のお客さんが来る予定になっているので、もう暫くお待ちくださいと言っていた。
ボクと一緒に入った若者はボクの隣に座った。演奏が始まるまでLiveのことやJazzのことを話した。
ボクがJazzヴォーカルは特に好きで日本の女性ヴォーカルでは与世山澄子さんや酒井俊さんなんかが大好きだよって言ったら、その若者、嬉しそうにボクに向いて「ありがとうございます。酒井俊は実はボクの母です」と言うではないか。
数日前にアメリカから実家に帰省してたらしく、母親の酒井俊さんから03年にCANDYでLiveしたときにCANDYがとても雰囲気のいいお店ということを聞いて、駆けつけたようだった。
ボクは大好きなヴォーカリストの息子というだけのことだが、年甲斐もなく少しミーハーな気分になって、その息子に母親である酒井俊さんの作品は昔のデビューアルバムから殆どを持っているよ・・・なんて話したら、その息子さん、母である酒井俊さんの若い頃の話しなんか、あんまり聞いたことがないということで、めちゃ喜んでいたね。

おっとと、話しが横道にそれてしまった。
CANDYのこと書きたかったのはボクの思い出話なんかではないんだな。
そうそう、オーナーの林さんのJazz&audioへの情熱とこだわりをボクの想像と私感で書こうとしてたんだ。 今、CANDYは益々もってLiveを増やしていっている。
多分にボクの勝手な解釈かも知れないが、LiveをそれもSR(拡声装置)など必要としない小空間の至近距離で聴けば聴くほどに、林さんの普段のJazz 喫茶としての営業でのAudio再生音への究極の達成感はLive感・・・つまり生音の如くの再生にどんどん向かっているのかと思われる。でも、心の中では生音の演奏に限りなく近づけれることはできても、録音再生芸術であることも理解してはいると・・・。

このことはJazzに限らず他の音楽でも、とにかく生音での演奏を聴く楽しみをAudio再生での楽しみ以上に持っているAudioマニアが突き進んでいく道程で必ず現れるジレンマの一つだと思われる。その逆の立場には同じAudioマニアでもLiveなど殆ど聴かないで自分の音づくりに励んでいるマニアもいる。

ボクが何を言いたいのというと、同じ音へのこだわり方にも、そのレコードやCDのミュージシャンの素晴らしい演奏に目が向いているのか、それとも演奏内容そのものよりAudio的に最高の音づくりのソースの再生だけに目が向くこだわり方なのかということだ。

CANDYオーナー林さんの店での音づくりは、まさに前者の演奏に目が向いている方で、ずーっと以前からそれを常に心掛けて実践しているやに聞いている。
大好きなミュージシャンの最高の演奏は最高のコンディションでもって聴き続けていたいと。
だからこそCANDYでのソース再生からはミュージシャンの熱いハートのある演奏が強く感じられるのだとボクは思っている。

商いという面で考えると、昔と変わらぬJazz喫茶としての形態に加えて、ライブスペースとしてはミニマムで毎週のようにライブを継続していくには厳しい状況かも知れない。
しかし、そうした素振りさえ見せずに、Jazz好きなボクたちに最高のパフォーマンスを提供し続けるCANDYオーナー林さんのJazzに対する熱意には、只々、頭が下がる思いがするとともに、その熱意の賜の恩恵に与れることのできるボクたちは本当に幸せだと思う。

この10月に入ってから、オーナー林さんが従来のCANDYのホームページとは別個にブログ「オーナーの日々思う事」Link を公開している。
林さんの絶妙な文章を読むにつれ、JAZZ SPOT CANDYの日々が手に取るようにわかるのだ。

             

— posted by ティダ at 09:26 pm       

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