これまでの彼女はSingerとしての表現、Songwriterとしての楽曲創りからの表現をone and only的な、つまり原口純子ならではの歌の世界を創り上げてきた。
ボクたちファンにとっては、その世界こそがたまらないのだが、昨年、事情によりライブ活動を休止した期間を含めて、今回のアルバムのレコーディングを始める前までの彼女の日々の胸中はどうであったのだろうか?
その世界に甘んずるべきかどうか、それともそれをベースに新たな世界を創り上げたいという意識とか、ボクには知る由もないのだが・・・、おそらく演奏活動から離れた普段の暮らしも含めて、相当に真剣に考えたのではと感じられるのだ。
もっともこのことは彼女に直接聞いたわけでもないから、あくまでもボクの憶測での域を出ない。
しかし、今回のアルバムに入っている彼女自身の新しい楽曲の歌詞の所々にそれらしきキーワードになりえる言葉が入っており、それらを拾い上げていくと、何となくミュージシャンとしてのメッセージや表現力に更なる欲求と拘りを抱き始めたのがわかる。
そして、その一つの進行形としての“今”が今回のアルバムではないかとボクは思っている。
今回の“歌うたいの恋”、ボーナストラックまで含めて11曲入っている。
トラックの構成はもとより、セレクトされた楽曲を聴きながら目で歌詞を追っていくと、これまでの一連のアルバム作品とは、彼女の感情表現が微妙に異なっているというか、これまであまり表現されなかったような感じがする“強さ”や“情念”
の雰囲気、そして恋へのストレートな感情表現が従来の切なさにミックスされ、ようやく実年齢と言っちゃ失礼だが、歳なりの大人のLoveSong集に仕上がっているように思える。
また今回のアルバムの特色として、半数の楽曲が他のミュージシャンの歌、いわゆるカバー曲で、残りの半数の楽曲が彼女のオリジナルという構成がなされている。
そしてもう一つの特色が各楽曲ともに彼女以外のギター、ベースやピアノ、さらにパッカーションやコーラスなどの歌伴にサポートされた、いわゆるセッションバンド形式での作品になっているということが挙げられる。
歌伴付ということで考えれば、前作の“Opening Time 2007”もそうではあったが、前作と比較すると、今回のNewアルバムは明らかに意図するものが異なると思う。
それは各楽器やコーラスのどれ一つをとっても自らのヴォーカルと同等レベルでの質感や音量、さらにアレンジまで含めたトータルな表現手段として用いているのがはっきりと打ち出されているからだ。
それは多分に先に述べた彼女の“今”を現わすことではないかと・・・。
そして今回のNewアルバムでは、何よりも彼女の歌が何か一皮剥けて、何かを吹っ切れた・・・変な気負いさのない自然な彼女本来の伸びやかさと艶やかさのある安定した歌声が聴けるのがすごく嬉しくてたまらない。
ステレオの音量を上げて聴くと、目の前で彼女が歌っているような姿が浮び、まるでボクのためだけのスペシャルなライブにさえ感じてしまうのだ。
皆も一曲目のブルースな“ウヰスキー”を聴くだけでもボクの言わんとすることが多分にお判りいただけるかなと思う。
最後に一言、彼女にはSinger-songwriterとしてだけでなく“Singer & Songwriter”として活躍することも願っている。
そう、いつか語ってた“夢のアルバム”というのに向かってね。

















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